とある事情で、東京都民と暮らしている。僕のようにわがままな人間が他人と共同生活を営もうというのだから、そりゃあ、不満は当然のようにたまってくる。 何よりも腹が立つのは、都民が何かにつけて僕を田舎者呼ばわりすることだ。確かに、僕の地元はひどい田舎にあって、本屋もCDショップもレンタルビデオ屋も無いような文化的砂漠だったけれども、だからといって都民にバカにされるいわれはない。 だいたい、この都民は都民といっても足立区民なのだ。別に足立区をバカにするつもりはないけれど、やはりどうしても引っかかるものがある。足立区なんて、ほとんど埼玉みたいなもんじゃないか。いや、別に埼玉をバカにするつもりも毛頭ないのだけれども……。 とにかく、僕はムカついたのだった。 「何を言っているんだい、君は。だいたい、日本で一番田舎なのは、どう考えても東京なんだぜ」 売り言葉に買い言葉というやつで、僕はそんなことを口走って