僕の一番親しい仲畑貴志というコピーライターが サン・アドという会社にいたんです。 そこにいた品田正平さんという とても人に教えることもじょうずな、 人格も立派なコピーライターのかたが 仲畑くんのところに 「これを読んで書き写すと文章が上手になるぞ」 とチャペックの「園芸家12ヵ月」を ポンと置いておいてくれたらしいんです。 文章表現などを学ぶんだったらこれだぞと、 品田さんが言ったということの意味が ほんとうによくわかる本なんです。 うんうん。 チャペックには、「山椒魚戦争」とか たくさん長編もありますけれども、 短い、ほんと断片のような文章に すごくいいのがたくさんあるんです。 短い言葉って短い分だけダラダラ書けないから、 ひとつひとつの言葉が持っている比重が高い。 チャペックって、新聞でずっと コラムを書いていたんです。 だから、すべてをびっしり書けないメディアで 書き続けたことが大き