2019年の大晦日、昭和の大スター・美空ひばり(1989年死去)が数十年ぶりにNHK紅白歌合戦のステージに帰ってきた。披露されたのは新曲「あれから」。故人が歌えるはずもない「新曲」の歌唱を、どのようにして実現したのか? このプロジェクトを担当したヤマハの開発者、大道竜之介氏と才野慶二郎氏に話を聞いた。 AI に歌を聴かせ、何度も歌わせる 今回の AI 歌唱を可能にしたのは、ヤマハが開発した新しい歌声合成技術『VOCALOID:AI(ボーカロイド:エーアイ)』。人工知能「AI」を用いたこの技術は、美空ひばりの過去の録音や楽譜をはじめ、彼女の歌い方やクセに至るまで、膨大なデータとして蓄積し、学習させていくことができる。 つまりあの新曲は、美空ひばりの「既存の歌唱音声」をもとに、AI が彼女の歌唱法を細部まで学習し、新たな楽譜や歌詞に沿って歌っていたというわけだ。 ※上記の映像はこのページから再