『映像の世紀バタフライエフェクト』|稲田豊史・ミステリーファンに贈るドキュメンタリー入門〈語っておきたい新作〉【第10回】 文=稲田豊史 ドキュメンタリーには「構成もの」というジャンルがある。「過去にあった出来事について、アーカイブ映像や活字資料をふんだんに使い、関係者の証言インタビューなどを折りまぜながら表現するドキュメンタリー」(*)のことだ。その「構成もの」の国内最高峰と言っても過言ではないのが、20世紀の近現代史をすべて〝現存する当時の映像だけ〟で綴ったNHK「映像の世紀」シリーズである。 「映像の世紀」には大きく3つのシリーズがある。第1シリーズは1995年から1996年にかけて全11回で放送された『映像の世紀』。第2シリーズは2015年から2016年にかけて全6回で放送された『新・映像の世紀』。そして2022年4月から放映中の『映像の世紀バタフライエフェクト』(事実上の前身番組