本書は、今でもなお残されている、古き良き「アメリカの良心」を代弁する、社会変革のための提言書である。 なぜ5億ドルもの資産を持つ大富豪である本書の著者が、上位1%の超富裕層への課税強化を提唱するのか。本書の後書きに出てくる彼の言葉に、その思いが集約されている。 資本主義の潮流は否応なしに不平等へと向かうため、市場を富裕層だけでなく万人のために機能させるには、不断の警戒が欠かせない。・・・なぜなら、ほとんどの人が基本的に公正な世界を望んでいるからであり、また近年のペースで富の集中が続けば資本主義の崩壊を招きかねないからでもある。・・・もしも僕らの息子が、ほかの人や周りの世界に対して自分が負っている責任を理解せずに育てば、僕は親として失格ということになる。 アメリカの中流家庭に育った著者は、努力型の秀才で、名門私立高校フィリップス・アカデミーから奨学金つきでハーバード大学に進学した。そして、た