本当の知性というものは、そもそも、点数で測ることができるものではない。 私の畏友、和仁陽のことを思い出してもそうである。和仁氏は、東京学芸大学附属高校における二年生、三年生の時の私の同級生だった。私たちの年の「共通一次試験」(当時の大学センター試験)の全国一位。1000点満点中、981点だった。 和仁氏の学科の成績がとてつもなく良かったことは事実だし、そのことは、和仁氏の知性の卓越と、正の相関を持つのだろう。しかし、そこのことは、私が二年間クラスメートとして和仁氏と接して感じた彼のとてつもない才能の、ごく一部分に過ぎない。 より和仁氏の本質を示すエピソードは、彼が高校の卒業文集で書いた随想のタイトルである。『ラテン民族における栄光の概念について』。他の人が、高校生活の思い出などの普通のテーマについて書いているのに対して、和仁氏が選択したこのテーマの中に、彼の世界観、哲学がいかんなく反映され