地方紙のような名を冠し、党派性の強い記事を発信するニュースサイトが米国で増殖している。確認されているだけで、1200超。ジャーナリズムを装いつつ、質の低い記事を量産することから、加工肉の増量などのために混ぜ込まれるくず肉の俗称になぞらえて「ピンクスライム・ジャーナリズム」と呼ばれるが、その実体とは。 今年5月31日、約3千人の生徒が在籍する米イリノイ州シカゴ郊外の「オークパーク&リバーフォレスト高校」。会議を終えた事務局長のカリン・サリバンさん(57)のスマホに、ワシントン・ポスト紙などの記者から身に覚えのない「ある記事」の確認を尋ねるメールが届いていた。 「人種に基づく成績評価システムを実行へ」。高校を名指しした記事には、「人種間のテストの点数を均等にする」「黒人生徒の欠席や不品行、課題の未提出は減点されない」などと書かれていた。 実際には、計画どころか、議論すらしていない。「記事は誤報