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ブックマーク / www.aozora.gr.jp (4)

  • 芥川龍之介 大正十二年九月一日の大震に際して

    一 大震雑記 一 大正十二年八月、僕は一游亭(いちいうてい)と鎌倉へ行(ゆ)き、平野屋(ひらのや)別荘の客となつた。僕等の座敷の軒先(のきさき)はずつと藤棚(ふぢだな)になつてゐる。その又藤棚の葉の間(あひだ)にはちらほら紫の花が見えた。八月の藤の花は年代記ものである。そればかりではない。後架(こうか)の窓から裏庭を見ると、八重(やへ)の山吹(やまぶき)も花をつけてゐる。 山吹を指(さ)すや日向(ひなた)の撞木杖(しゆもくづゑ)    一游亭 (註に曰(いはく)、一游亭は撞木杖をついてゐる。) その上又珍らしいことは小町園(こまちゑん)の庭の池に菖蒲(しやうぶ)も蓮(はす)と咲き競(きそ)つてゐる。 葉を枯れて蓮(はちす)と咲ける花あやめ  一游亭 藤、山吹、菖蒲(しやうぶ)と数へてくると、どうもこれは唯事(ただごと)ではない。「自然」に発狂の気味のあるのは疑ひ難い事実である。僕は爾来(じ

  • 小川未明 文章を作る人々の根本用意

    一概に文章といっても、その目的を異にするところから、幾多の種類を数えることが出来る。実用のための文書、書簡、報道記事等も文章であれば、自己の満足を主とする紀行文、抒情叙景文、論文等も文章である。 こゝには主として後者即ち文学的味いを生命とする文章を目標とし、特にその作法の根的用意を述べたいと思う。 われ/\が、何か思うところ、感ずるところを書きたいと望むことがある。そこで、先ずわれ/\は、最初に自分の感じを抽(ひ)き出す文字を、あれこれと選択しつゝ紙に書いてみる。それが自分の感じとぴったり合しつゝ書き進むるようならば、もう文章のある域まで達したのであるが、これと反対に思うところ感ずるところが、一字一行にも骨が折れてどうにも書き進められない場合がある。徒らに苦んだ果は、自分には所謂(いわゆる)文章が書けないのではないかと絶望したような心持にさえなる。 もし諸君の内に、こういう場合にぶつかっ

  • 作家別作品リスト:夏目 漱石

    慶応3年1月5日(新暦2月9日)江戸牛込馬場下横町に生まれる。名は夏目金之助。帝国大学文科大学(東京大学文学部)を卒業後、東京高等師範学校、松山中学、第五高等学校などの教師生活を経て、1900年イギリスに留学する。帰国後、第一高等学校で教鞭をとりながら、1905年処女作「吾輩はである」を発表。1906年「坊っちゃん」「草枕」を発表。1907年教職を辞し、朝日新聞社に入社。そして「虞美人草」「三四郎」などを発表するが、胃病に苦しむようになる。1916年12月9日、「明暗」の連載途中に胃潰瘍で永眠。享年50歳であった。 「夏目漱石」 公開中の作品 イズムの功過 (新字新仮名、作品ID:2314) 一夜 (新字新仮名、作品ID:1086) 永日小品 (新字新仮名、作品ID:758) 岡一平著並画『探訪画趣』序 (新字新仮名、作品ID:2669) おはなし (新字新仮名、作品ID:59017

  • 青空文庫 作家別作品リスト :岸田 国士

    公開中の作品 愛家の一例 (新字旧仮名、作品ID:44537) 『赤鬼』の作者阪中正夫君 (新字旧仮名、作品ID:44532) アカデミイの書取 (新字旧仮名、作品ID:44567) 「明るい文学」について (新字旧仮名、作品ID:44417) 空地利用 (新字旧仮名、作品ID:44700) 秋の雲 (新字旧仮名、作品ID:43860) 秋の対話 (新字旧仮名、作品ID:44782) 悪態の心理 (新字旧仮名、作品ID:43858) 芥川賞(第十八回)選評 (新字旧仮名、作品ID:44715) 芥川賞(第二十回)選評 (新字旧仮名、作品ID:44719) 浅間山 (新字旧仮名、作品ID:46862) 「浅間山」の序に代へて (新字旧仮名、作品ID:44871) 『跫音』の序にかへて (新字旧仮名、作品ID:44757) 明日の劇壇へ (新字旧仮名、作品ID:44595) 明日は天気(二場

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