今回はkasawoさんのブログ『傘をひらいて、空を』からご寄稿いただきました。 新しいから傷つける 友だちの家のPCの動作がおかしいというので見にいった。だいぶ古くて起動に十分もかかる状態だったので、さしあたり彼女が必要としているDVDの再生ができるようにクリーンインストールすることにした。 彼女の仕事用の携帯電話が鳴り、彼女は私にことわって出た。はい、いつもお世話になっております。いえいえ、はい、なるほど、担当がそのようなことを申しましたか。彼女は五分ほど電話で話しつづけた。ほとんどは相槌(あいづち)だった。いろいろな種類の、さまざまな重さの、一定以上の温度を保った相槌(あいづち)だ。彼女はそのあと、仕事にしてはいささか親しげに短く笑って、いいえ、いいんですよ、と言ってから電話を切った。 私はBIOSを確認し、それをのぞいた彼女はなんだか怖そうな画面、とつぶやく。怖くないよ、これはWin