「30歳まで童貞で過ごすと魔法が使えるようになる」この文言は登場するやいなや、全国の非モテや童貞たちの心を鷲掴みにした。科学的な根拠などなきに等しい。実際に魔法が使えるという実証者が現れたわけでもなく、かといって無視しきることもできない強大な魅力を備えていた。残念ながらこの文言は広くネタとして一般解釈され、テレビゲームドラゴンクエストに登場する呪文になぞらえてやれパルプンテが使えるようになっただとか、手を使わずに射精できるようになったとか、そういった文脈ばかりが傑出していた。今ではこの文言自体に新鮮味も刺激もなく、使い古されたAAと同程度に同用途に消費されていくのみである。不肖ながらこの私も、当時は魔法使い見習いとして、やがて訪れるであろう変革の時を心静かに待つ、若き童貞であった。ちなみに今も童貞であるが。頭がどうかしていた私は、冗談でなく本気で信じていた。魔法が使えるようになったらお城作