住居空間は生きる上でかなりの時間を費やす非常に重要なスペースだ。普段の生活も環境さえ整えば、住んでいる当人はとても豊かになっていく。デザインも日々進化しているのと同様に、住居もそれに伴い住んでいる人の用途に合わせて生き物のように変化していいはずだ。 2012年現在では単純に新しい空間がよいと思える時代は終わったのではないだろうか。これからは、すでにある空間や材料をうまく活かしながら新しい世界をつくりあげていく時期に突入している。特に新しいだけの空間は無機質になりがちだ。私事になるが、震災における仮設住宅を彩る活動をしている。無機質な空間を明るくするのは本当に喜ばれる行為で、自分の手でやりとげるのはえも言われぬ達成感がある。 ペンキはもっとも安価で、効率よく空間の質感を変える仕上げの基本だ。ツヤを出すか、それともザラっとした質感でいくかで雰囲気が決まる。本書でも紹介されているが、基本となる白