『リンカイ!』は不思議なアニメだった。 女子競輪のアニメです。ただ自転車が好きで競輪選手養成所に入所した伊東泉。同期や先輩との交流の中で選手として成長していくというストーリー。よくあるやつである。泉も他の選手も、実在の競輪場から名前を取っている。平塚さんとか岸和田さんとか。『ウマ娘』ならぬ『競輪場娘』か。 競輪に限らずマイナー世界がアニメやドラマになった時、ファンは「こんなんじゃねえよ!」と言いたくなることが多い。 が、この『リンカイ!』は不思議なほど「ちゃんと競輪」だ。アニメ美少女が競輪をするのに、競輪場はくすんだ灰色である。競輪ファンが自嘲ぎみに語る「競輪場の荒れ果て感」が、ごくふつうに描かれる。登場人物が握りしめる金網や手すりは錆びつき、客はまばら。寂れた動物園のような光景が、競輪ファンにだけはわかるような精緻さで、あとからあとから出てくる。 マジでこれは競輪だ。 ※写真はイメージ