NHKの大河ドラマ「平清盛」の評判がよろしくないそうだ。1月の放送開始直後に、兵庫県知事が「画面が汚い」と異例の物言いをつけたのに始まり、視聴率は歴代大河ドラマで最低レベルとされ、朝日新聞が夕刊で取り上げるほどの嫌われぶりだ。 私は、これに納得がいかないのである。とても面白いと思うし、私の周囲では、むしろ「今年の大河は面白い」という声が少なからずあるのだ。 確かに、予告編を見た時点では兵庫県知事と同様、画面がきれいじゃないという印象が強く、「ま、初回くらい話の種に見ておくか」というくらいの気持ちだったのだが、すっかり引き込まれ、以来、日曜夜は外出を控え、どうしても出かける時には必ず録画をセットしている。 どこにそんなに惹きつけられるかというと、やることなすこと型破りで周囲から批判されながらも、必死に自分の思う道を生きようとする、清盛の真っすぐな姿にである。「まつりごと」と言えば聞こえはいい
かのコリン・ウィルソンは著書『現代殺人百科』の「テッド・バンディ」の項を次のように書き始めている。 「テッド・バンディは殺人者としては異例に属する。法廷に彼が現われた時、そこで彼を初めて見た者は我が眼を疑った。何かとんでもない間違いが起こっているのではないか。それほどにバンディは犯罪とは無縁の好青年に見えた。しかし、セックス殺人において、彼が何か記録のようなものを作ったことは確かである」 バンディは結局、30人の殺害を認めて死刑となった。しかし、その被害者は100人を超えると信じられている。そして、彼の経歴を見れば判るが、この頭脳明晰にして容姿端麗の男こそ、史上最悪の連続強姦殺人犯なのである。 セオドア・ロバート・バンディ、通称テッド・バンディは1946年11月24日、バーモント州バーリントンで、21歳のルイーズ・コーウェルの私生児として生まれた。父親の素性は、今なお謎とされている。 厳格
アルバート・フィッシュは私の知る限り「最も倒錯した人類」である。彼の前ではエド・ゲインもジェフリー・ダーマーもマトモに見える、というのは些か云い過ぎだが、少なくともゲインやダーマーは何を考えているのかぐらいは判る。ところが、フィッシュは何を考えているのやらさっぱり判らない。正常な人間が彼の頭の中を覗いたら、それだけで発狂してしまうのではないだろうか。 事の発端は1928年5月28日に遡る。ニューヨークの安アパートに暮らすバッド家にフランク・ハワードと名乗る老人が訪ねて来た。手には『ワールド・テレグラム』紙が握られている。 「この新聞に求職広告を出したのはお宅かね?」 広告を出したのは息子のエドワード(18)だった。家長たるアルバート・バッドの収入だけでは妻と4人の子供の生活を支えるのは厳しかったのだ。 「わしゃロングアイランドのファーミングデールに農場を持っとるんだが、人手が足りなくて困っ
エド・ゲインはおそらく映画史に最も影響を与えた人物だろう。彼がいなければ『サイコ』も『悪魔のいけにえ』も『羊たちの沈黙』も作られることはなかった。彼は現代アメリカの悪夢を象徴する存在であり、その無垢だが邪悪な魂は今日もなお生き続けているのである。 アメリカの中北部、ウィスコンシン州の中央に位置する広大な平原の真ん中に、プレインフィールドという人口600人の小さな町がある。「何もない平原」というその名の通り、本当になんにもないところである。視界に映るのはどこまでも続くライ麦畑のみ。住民の娯楽は鹿狩りと、1杯のビールぐらいしかなかった。 1954年12月8日、この町で酒場を営むメアリー・ホーガンという体格のいい中年女性が行方不明になった。シーモア・レスターという農夫が一杯やろうと店に入ると、中には誰もいなかった。おかみを呼べども返事がない。カウンターの中を覗いて仰天した。床が血だまりになってい
1991年7月22日午後11時30分、ウィスコンシン州ミルウォーキーのダウンタウンでの出来事である。2人の巡査がパトカーで巡回していると、左手首から手錠をぶら下げた黒人の青年が金切り声を上げて飛び出して来た。なんでも若い白人の男にアパートに連れ込まれ、いきなり手錠をかけられたのだと云う。半信半疑だった巡査たちは、彼があまりにも真剣なので、一応そのアパートに行ってみることにした。 その付近一帯はストリップ小屋やゲイ・バーが密集し、売春婦がたむろするいかがわしい場所で、住人もほとんどマイノリティーだった。案内されるままにオックスフォード・アパートメント213号の呼び鈴を鳴らすと、この場所にふさわしくない、大人しそうな男が顔を出した。ジェフリー・ダーマーと名乗るその白人男性は、至って冷静に対応した。 「いや、ほんの冗談のつもりだったんですよ。彼とは酒を飲んでいたんです」 巡査が手錠の鍵を出すよう
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