7月11 山本太郎『感染症と文明』(岩波新書) 10点 カテゴリ:社会10点 これは面白い! 近年、ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』に見られるように、「感染症」を人類の歴史を決定づけた一つの大きな要因としてクローズアップする考え方が出てきています。この本もそうした感染症と文明の関係を扱った本です。 ただ、ちょっと違うのは著者が歴史学者ではなく医師であるという点。感染症の特徴、そして感染のメカニズム、加えて感染症との「共生」という新しい考え方が打ち出されています。 農耕の開始と文明の出現は、また大規模な感染症の出現でもありました。 農耕の開始は多くの人口が狭い地域に暮らすことを可能にし、また同時に飼われはじめた家畜はさまざまなウィルスを持っていました。 定住は排泄された糞便の集積をうみ、そこに寄生虫が繁殖します。余剰食料はネズミを呼び寄せ、そのネズミにいたノミやダニを通じて新たな病気