以前書いたように、漫画『DEATH NOTE』には相対主義的な正義観が貫かれている*1。この作品の世界においては勝者こそ正義であり、そこでは、「思想の相対性」を超越するような「真の正義」が在り得るのか否か、在り得るとしたらそれはどのような正義か、といったような倫理的な問いは初めから放棄されている。私自身は価値相対主義者なので、そうした正義観そのものに違和感を覚えることはない。けれども、絶対的な「真の正義」が在り得るのかという問いが、子供でも言えるようなシニカルなだけの答えを返すことで切り捨ててしまってよいものだとも思わない。 それゆえにこそ、私は過去にこの問題をやや詳細に扱ったのだが*2、ここではそうした政治哲学的議論の傍らに寄せる小論という形で、『DEATH NOTE』に対置されるべき作品である漫画『20世紀少年』について若干のことを述べてみる。「真の正義」をめぐる問いと絡めて『20世紀