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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (9)

  • 時を忘れる小説

    大きな現実の前では、文学はつくづく無力だな。 そも文学は人と人との間学(あいだがく)なのだから、人を超える圧倒的な事物には、術がない。しかし、言葉が人に対して影響をもつものなら、それがいかに微かであろうとも、その力を信じる。わたしは、物語の力を、信じる。 このエントリでは、時を忘れる夢中小説、徹夜小説を選んでみた。計画停電でテレビや電車が動かないとき、開いてみるといいかも。amazonからは書影のみお借りして、リンクはしていない。自分の書棚か、営業してる屋を巡ろう。文庫で、手に入り安そうなもので、かつ面白さ鉄板モノばかり選んだ。いま手に入りにくいのであれば、手に取れるようになったときの「おたのしみリスト」として期待してくださいませ。 ■大聖堂(ケン・フォレット、ソフトバンククリエイティブ) 十二世紀のイングランドを舞台に、幾多の人々の波瀾万丈の物語……とamazon評でまとめきれないぐら

    時を忘れる小説
    gaya1114
    gaya1114 2022/11/20
  • 『眼の誕生』はスゴ本

    「世界の見えかたが一変する」という意味で、目からウロコの一冊。 先入観やバイアスは、明示されるまで気づかない場合が多い。例示されて初めてハッとする。それまで、「見えている」と思っていたものが、実は「見て」すらいなかったり、「見える=存在する」という思い込みの強さに囚われていたことに気づく。 見えていない ≠ 存在しない わたしの「世界の見えかた」を変えたのが、爆撃機の話だ。第二次大戦中、敵機の攻撃から生還した爆撃機を調査した統計学者が、ある提言をした。それは、「被弾箇所(赤ドット)ではなく、空白部分を強化すべし」というのである。なぜなら、空白箇所に被弾した機は、そもそも生還しなかったからという理屈だ。 「生存バイアス」とも呼ばれるこの理屈、ポイントは「見えている」という時点で何らかの選択がされていることだ。したがって、「むしろ見えていないものは何か?」という観点から「それはなぜか?」を考え

    『眼の誕生』はスゴ本
    gaya1114
    gaya1114 2019/01/23
  • 人類を定義する一冊『人類はどこから来てどこへ行くのか』

    挑戦的なタイトルで「人類とは何か」に迫った一冊。 大上段で、具体的で、断定的で、しかもツッコミまくる読書になる。私だけが真実に最も近いという自負心が透け見えて面白い。強引なレトリックに鼻白むことはあっても、その主張が核心を突いていることが感じられ、興奮させられる。賛否は割れるだろう。だが、「人類とは何か」について考えさせるのが著者の目的だとすれば、書は大成功しているといえる。 著者はハーバード大学の生物学者。分子遺伝学、神経科学、進化生物学、考古学、生態学、社会心理学、歴史学の視点から、ゴーギャンがタヒチで書き付けたこのテーマを照らす。 われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか 「われわれは何者か」この認識は、立場や自尊心によって歪められる。神学者からファシストまで、特定のイデオロギーの信奉者は、「人類の性」を自分に都合良く定義してきた。特に経済学者に多い

    人類を定義する一冊『人類はどこから来てどこへ行くのか』
  • 性教育は、この一択。『ぼくどこからきたの』

    これは家で教えなきゃ、と実践しているのがと性。家庭科や保健体育では遅いし足りぬ。学校任せにしないおかげで家族の昼ぐらいは作れるようになった(ただし麺類に限る)。 では性は?探し回ったあげく、この一冊にした。 男と女の違いから始まって、セックスとは?赤ちゃんができるとは?に真正面から答えている。親子で読めて、きちんと話し合える。生々しすぎる描写ではなく、かといって抽象的すぎでもない(「プリキュアで性教育」といっても、おしべとめしべは、ほとんとメタファー)。『南仏プロヴァンスの12か月』のピーター・メイルの文を、谷川俊太郎が訳している。率直で、ごまかしのない言葉で伝えている。 一通り読み聞かせた後、性感染症の話を補足する。お風呂のとき、そこを綺麗に洗いなさいというのは、これが理由だったのか、と納得してもらう。あとは質問コーナー。山ほど出てくる問いかけに、適切な言葉を選び、分かりやすく伝え

    性教育は、この一択。『ぼくどこからきたの』
  • この「旅」の本がスゴい

    オススメを持ち寄って、まったり熱く語り合うスゴオフ。 今回のテーマは「旅」、様々な解釈ができるので面白い。地理的な移動をまとめた紀行文から選んでもいいし空想の旅もあり、「○○の旅」とタイトルから攻めても出てくる出てくる。まずは見てくれ、この旅の収穫。 鉄道 「旅マン」ほりのぶゆき(小学館) 「トラベル」横山裕一(Cue comics) チャリ・バイク・クルマ 「モーターサイクルダイヤリーズ」チェ・ゲバラ(角川文庫) 「がむしゃら1500キローわが青春の門出」浮谷東次郎(ちくま文庫) 「ああ、人生グランド・ツーリング」徳大寺有恒(NAVI BOOKS) 「スズキさんの休息と遍歴またはかくも誇らかなるドーシーボーの騎行」矢作俊彦 「行かずに死ねるか!―世界9万5000km自転車ひとり旅」石田ゆうすけ(幻冬舎文庫) 船旅 「星の航海師 ナイノア・トンプソンの肖像」星川淳(幻冬舎) 「KAZ

    この「旅」の本がスゴい
    gaya1114
    gaya1114 2012/06/08
  • スゴ本100

    いつのまにか1000エントリ超えてたので、ここらで100に絞ってみる。 このblogで「スゴ」認定されたもの、企画「この○○がスゴい」で挙げられたものを、100にまとめてご紹介。順序適当、偏見なし、ビジネス、サイエンス、エロマンガ。ブンガク、ビジュアル、なんでもアリ、啓蒙、アダルト、劇薬なんでもござれ。「ノンフィクション」、「フィクション」、そして「劇薬系・成人指定」の三立てでご紹介。番号は便宜上つけたものなので、ランキングにあらず。 こんなにスゴいに出合えたのは、すべてあなたのおかげ。いいはたくさんあるのだが、全部読んでるヒマもないし、探している時間も足りない。だからわたしは、スゴいを読んでいる「あなた」を探す。あるいはこのblogにやってきた「あなた」の言を待つ。そうしたツッコミやアドバイスをいただき、とても感謝しています。 この100リスト全て鉄板モノだが、「それをスゴ

    スゴ本100
  • 「死ぬときに後悔すること」ベスト10

    余命、数週間。不自由な体、満足に歩くこともできない。日中も寝ている時間が多くなり、頭もうまくはたらかない ──そんな人生の最終章の人に向かって、こう問いかける。 いま、後悔していることは、何ですか? 「死ぬときに後悔すること25」の著者は、終末期における緩和医療に携わる医師。現場で見聞した、「余命いくばくもない状態で、後悔すること」をまとめたのが書なのだ。得られた答えは、多様でいて一様だし、複雑なようで単純だったりする。 もうすぐ自分が死ぬと分かっている人が、何を悔いているのか。これを知ることで、わたしの人生で同じ後悔をせずにすむのだろうか。考え考え読んで、いくつかの「先立つ後悔」を得ることができた。後悔は後からしかできないものだが、これはわたしにとって「先悔」となるものを、ランキング形式でご紹介。書では25章に分かれているが、わたし流にベスト10に絞ってみた。 第10位 健康を大切に

    「死ぬときに後悔すること」ベスト10
  • この本がスゴい2008

    今年もよい出会いがあり、それはあなたのおかげ、とても感謝しています。 ここでいう「あなた」とは、親切にもコメント欄よりオススメいただいたアナタだけでなく、某所で罵倒しまくってたキミも含まれる。なぜなら、「○○がスゴいんだってーフフン、じゃぁ△△読んでないだろ」なーんて教えてくれたから。 ありがたいのはまさにソレ、「そんならコレを読め」と言ってくれる方は、○○も△△も読んでる。わたしが知らない△△を、わたしが読んだ○○から教えてくれるのだから、これほど有益なものはない。 わたしが知らないスゴは、きっとあなたが読んでいる所以はここにある。反面、これができずに唯我独尊を貫くと、非常に限定された世界の読書王となる。なまじ蓄積があるだけに、外からのアドバイスが受け入れられず、読書はすべて自意識の確認作業となる。気の毒だけど、よい反面教師だ。この道は、いつかきた道。わたし自身が陥らないよう、用心用心

    この本がスゴい2008
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 名著!「日本人の英語」

    東大、京大、北大、広大の教師が新入生にオススメする100冊」で第5位。 特に京大のセンセが、「英語質がわかると言っても過言ではない」とか、「全学共通科目の英語なんぞ 100 年続けても、この1冊には適うまい」といった最大級の賛辞を贈っている。 著者はマーク・ピーターセン。明治大学経済学部の助教授(当時)。新入生の「異様な英語」から、修士や博士論文に出てくる「イライラする文」までを、達意な「日語」で説明してくれる。なぜ「異様」なのか、そしてなぜ「イライラ」するのかを理解するとき、英語の壁を一つ越えるだろう。 そういうわたし自身、単語をつなげたり拾ったりするだけなので、心もとない。次の例文は簡単なくせに面白い「読み」ができる。 a) Last night, I ate chicken in the backyard. b) Last night, I ate a chicken in

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 名著!「日本人の英語」
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