昨日やりたかったこと 昨夏、転職の合間を縫って二週間ほどニューヨークへ遊びに行った。ブロードウェイで観劇三昧だった。当日券の行列に並び、立見席から特等席まで一日一公演以上は観た。客電が落ちるとともに始まり幕が閉じれば消えてなくなる「夢」だけにお金を使う毎日は心地良かった。ラブホテルみたいな作りの安宿に連泊し続け、朝食用にベーグルとビスケットを買い込み、夜食は斜向かいのデリ。昼は一日中散歩に費やして公園で手帳に日記を書きスニーカーを履き潰し、サンドイッチやファストな麺物で胃袋を満たした。 何でも好きなことをしていいよ、と言われた二週間を旅先でこんなふうに過ごすのならば、きっとこれこそが私の幸福なのだろう。そのために働いて稼ぐのだ、あるいは、生きるのだ。一日の終わり、小さな島にある大きな街のあちこちで夕暮れを迎えながら摑み取った、その確信から「食」の要素は見事に抜け落ちていた。 ニューヨークは