ネット上では匿名性を楯に激しい差別感情が噴出し、露骨な差別的表現が飛び交う。そこにはネットならではの傾向や攻撃対象の選定がある。ネットに多く見られる地域差別についてネットニュース編集者の中川淳一郎氏が解説する。 * * * ネット上でもリアルの世界同様、差別感情のターゲットとして地域が多く見られる。ただし、その対象と理由には独特のものがある。多いのは沖縄と福島に対する差別で、それぞれ「沖縄土人」「福島土人」という言葉で罵倒する。 理由は、沖縄は「基地経済や政府からの補助金に頼りながら、基地に反対している」、福島は「原発のおかげで地域経済が潤い、原発事故で補償金までもらっているのに、原発に反対している」のは図々しい、というものだ。 そこには、「努力もせず補助金や補償金をもらって生きているのは許せない」という勝手な思い込みがある。現実には補助金などを受け取るかわりに相応の負担やリスクを受け入れ