はじめに 奈良県は世界的に有名な古都であり、古くは古墳の時代より、シルクロードの旅人に運ばれた文化がこの地に流れ込み、日本文化の源泉となりました。 医薬も例外ではなく、主に中国から輸入された知識やくすりが医療の中心となり、病に苦しむ人々を助けました。 奈良県でも、民衆を救済するため、多くの寺院などにおいて、施薬と呼ばれるくすりの施しが行われました。 有名な東大寺の正倉院には、当時のくすりが納められています。 いくつかの寺院では、それぞれ秘伝の処方による薬が作られ、施薬が行われました。 修験道で有名な大峰山の「陀羅尼助」がその一例です。 当時のくすりは、その原料の大部分が天産物であったため、薬用植物の確保が重要な問題でした。 中国などから、種苗の輸入に努める一方、日本国内に自生する薬草の調査と栽培に大きな力が注がれました。 そのような状況の中で、奈良県ではいくつかの薬草園が造られ、優良な薬用