企業の取材をしていて度々耳にするのは「工学系の女性人材がいない」という言葉。大学の工学部学生の女性比率は十数%程度、しかもそこから3割はエンジニアではなく事務職に就職するというからしかたがない。そんな諦めムードを一変させたのが2022年4月、奈良女子大学が女子大で初となる工学部を創設したというニュースだ。工学部初代学部長である藤田盟児教授に、その経緯と熱い思いを聞いた。 編集部(以下、略) 女子大学初の工学部は、どのような経緯で設立されたのですか。 藤田盟児さん(以下、藤田) 女性の活躍の場を広げることを使命としてスタートしました。歴史的に見ても、工学部に女性が入れるようになったのは戦後です。進駐軍が「共学にすべし」としてからの話で、それまで女性は大学教育もまともに受けられなかった。それがいまだに尾を引いている。 奈良女子大学では以前から「いつか工学部をつくろう」という意志はあったんです。