日本経済の低迷や財政悪化の要因は何かと問われれば、最も多く上がる回答は少子高齢化であろう。少子高齢化の進行は、生産年齢人口比率を低下させることで経済の低迷を招き、社会保障費の増加などを通じて国家財政を悪化させる。 厚生労働省が公表している合計特殊出生率は、2005年に1.26と過去最低を記録して以来、増加に転じている(図表1)。しかし、ここ5年間は一進一退の動きとなり、2016年時点の出生率は1.44にとどまっている。近年の出生率上昇は、30代後半や40代前半の女性の出生数増加が背景にあると言われているが、このような高齢出産ボーナスは終わりに近づいているとみてよいだろう。 図表1 合計特殊出生率と出生数の推移出所: 厚生労働省「人口動態調査」 合計特殊出生率が低位で推移していることから、2016年には出生数は100万人を割り、出生数の減少に歯止めがかかっていない。出生数が減少している背景と