illustration/神谷幸宏この記事の写真をすべて見る 急増する特殊詐欺。その背景には、家庭にも社会にも居場所がない子どもたちのつながりがあった――。『老人喰い』(ちくま新書)で話題の著者が書く。(ルポライター・鈴木大介) 2014年の年間総被害額が550億円を超えた、いわゆる振り込め詐欺などの特殊詐欺犯罪。触法行為・犯罪に手を染める加害者側の少年少女の取材を続ける中で、詐欺の加害者取材もこなしてきたが、そこで20代を中心とする現場プレーヤー(被害者に直接電話をかける架電要員=カケ子)に共通する証言が、詐欺でターゲットとする高齢者が「何でこんなにも払える金を持っているんだろう」と驚愕したという経験だ。 その驚きはそのまま、詐欺組織側がプレーヤーに行う「ふんだんに金を持っている高齢者から多少の金を奪うことは最悪の犯罪ではない」という洗脳教育の正当化につながり、彼らは罪悪感どころか半ば義