福島原発事故の発生からまもなく10年を迎える。私は首相補佐官や環境大臣として事故当初の対応にあたり、その後も福島の人々とともに「福島の復興」に取り組んできた。その歩みを『東電原発事故 自己調査報告』(2月28日発売、徳間書店)として刊行する。歴史法廷で罪を自白する覚悟を持って本書を書いた。その中から、県民健康調査として行われてきた甲状腺検査を通じて子供や保護者の不安に正面から向き合ってきた医師の緑川早苗氏との対談(司会は社会学者の開沼博氏)を「論座」で3回にわけて紹介する。私は政治家として福島県民の健康問題に重たい責任を背負っている。その立場から、甲状腺検査を継続する倫理的問題をここに問いたい。 開沼 最初にお伺いしますが、緑川先生はこれまで、著書でもオンラインでもあまりご自身のライフストーリー的なことをお話しなさっていませんよね。差し支えなければで構いませんが、ご出身は福島県内ですか。
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