ブックマーク / kasasora.hatenablog.com (1)

  • 策を弄さない勇気 - 傘をひらいて、空を

    傷つきました、と彼女は言った。会議室の端までよく通る声だった。そうして、とても静かな物言いだった。私は職場にあってもいろいろの感情が顔に出るたちで、「素直でわかりやすい」と言われるけれども、彼女は私と反対に、淡いほほえみがデフォルトの、にこやかでも無愛想でもない、いつも落ち着いている人だった。発言の数が少ないのではなく、主張や意見もおもてに出していて、それでいて全体の印象は物静かだ。そのような人は多くはない。 私は会社勤めをはじめて以来、喜怒哀楽をわかりやすくおもてに出し、それをコントロールすることで不利を防ぐという手法をとってきた。嘘もめったにつかない。嘘は面倒、ありもしない感情を表情でつくってみせるのも面倒、黙っていても仕事は回らない。それにもちろん、ずっと正直でいたら損をする。だから私は、おおまかな喜怒哀楽においては嘘をつかず、限度を超えた怒りと悲しみだけに蓋をして、その上に適度な怒

    策を弄さない勇気 - 傘をひらいて、空を
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