えいごコラム(26) 優しい「誤訳」 「ナルニア国ものがたり」の邦訳は児童文学作家・研究者の瀬田貞二先生によるもので、名訳として知られています。 ただときどき、奇妙に原文と違っているところがあります。たとえば第2巻『カスピアン王子のつのぶえ』(Prince Caspian, 1951)で、ナルニアを再訪したピーターたち4人は、小人のトランプキンとともに、カスピアン王子に合流しようとして森を進んでいます。道順について意見が分かれたとき、エドマンドとルーシィが次のようなやりとりをします。 「そこが、女の子のいちばん悪いくせなんだ。」とエドマンドが、ピーターと小人にむかっていいました。「女の子の頭には、からきし地図がはいっていないんだもの。」 「だから、そのかわりに、すてきなものがつまっているのよ。」とルーシィがいいました。(p.159) このルーシィのセリフ、可愛らしいですよね。しかしこれは原
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