白川方明日銀総裁は先月、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とダウ・ジョーンズ経済通信(DJ)との長時間にわたるインタビューで、デフレ脱却 に足踏みする日本経済のかじ取り役としての日銀の政策を擁護した。WSJ/DJは今回、8人の識者に対して、白川氏がインタビューの中で日銀の過去の失策を挙げなかったことと、デフレ解消に金融政策ができることは限られているとしたことへの所感を中心にコメントを求めた。 負の遺産と闘う白川氏 ---京都大学の翁邦雄教授 白川総裁はインタビューで自身の考え方を概ね率直に語っていると思う。白川総裁が指摘しているように、日本銀行が様々な革新的な金融政策を先駆的に実行してきた「孤独なフロントランナー」であったことはその後の各国の経験から今や明らかだし、日本経済の構造的問題に伴うデフレーションからの脱却は金融政策だけではできない、という診断にも同意する。しかし、読者の