“仮宿の仕事場だと言う一軒家で、ボーッとあたりを眺めていた時、 手持ち無沙汰を察してくれたのでしょう。 眼鏡をかけたアニメーターさんが話しかけて下さいました。 「ジュラシックパーク、観た?」 「観ました」 「日本の怪獣映画、どう作ったら面白くできると思う?」 作画机に、「空飛ぶゆうれい船」のゴーレム(海洋堂のソフビ)を乗せ、 お仕事中でお忙しかったであろうに、まだ十代の小僧相手に、 2時間程も相手をしてくれたその方とは、 互いに名乗る事も名乗られる事も無く、 ただ延々と怪獣の話をしていました。 OVA孔雀王(多分「真孔雀王」)の、 天蛇王の作画をされていた事をよく覚えています。 越智さんが戻られ、その場を去る段階となって、 初めて自己紹介をさせていただいた時の衝撃は忘れません。 「浅井真紀と申します」 「あ、かなだといいます」 「かなだ……さん?」 「金田伊功です」 ” 10代の記憶 (v