今さら『マリア様がみてる』の1巻を読破した。私が改めて説明するまでもない、百合作品の代名詞的・金字塔的位置を確立している作品だが、その評価もうなずける面白さだった。もの凄く密度が濃かった。私は現在1巻だけしか読んでいない浦島太郎で、そんな状態で言うのも何だが、この話単体で評価しても出色の出来だと思う。 『マリみて』の凄いところは、少女小説や学園青春ものの王道をまい進して期待に応えるのと同時に、紋切り型のプロットや陳腐な価値観に囚われずに、予想を裏切りつつ普遍的で力強いメッセージを打ち出しているところだ。王者の風格と破天荒なパワーが同居している。 中流家庭の平凡な女の子だった主人公がひょんなことから憧れの存在であるお姉さまに見初……目を付けられて、雲の上の世界であった生徒会の祭ごとに巻き込まれていくというシンデレラ的舞台設定。別世界に放り込まれて戦々恐々、てんやわんやしつつも、徐々に頭角を現
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