先日、編集者との打ち合わせの時に、「中国の農村というのは、いまだそんなに貧しいのですか」と、たずねられた。そうか、日本人が旅行やビジネスで訪れることができる中国には、もうさほどの貧困は見られないんだな、と気付いた。そこで、「年収2300元(約3万6500円)、1日の生活費6.3元(約100円)を貧困ラインと呼んでいますが、その貧困ライン以下の人口は1.28億人以上、と公式に発表しています。これはかなり保守的な数字です」と答えてみた。 だが、それで中国農村の貧困が実感として分かるだろうか。餓死者が出ますか、と問われれば、今の中国で飢餓だけで死ぬことはまずない。医者にかかれない、学校にいけない、いろいろ表現を考えてみたが、それではあの絶望的な貧しさは伝わらないだろう。そもそも貧しさって何なのか。その定義もあいまいだ。人によっては日本こそ世界一貧しい国だという感じ方もある。 そう思っているときに