死んだ人間の身体を再利用しそれなりの仕事はできるよう、疑似霊素をインストールする。 100年前、18世紀の終わりまで、人間の肉体は死んだら黙示録の日まで甦る事はないとされていた。しかしいまは、そうではない。死後も死者は色々と忙しい。と、ジョン・H・ワトソンが語る19世期末のロンドンで、物語ははじまる。 ロンドン大学で医学を学ぶワトソンは、卒業を間近にしたある日、屍体に疑似霊素がインストールされ、動く死者になる瞬間をはじめて目にすることになる。 その施術を行なったのは、ワトソンの指導教官であるジャック・セワードと、その恩師であるエイブラハム・ヴァン・ヘルシング。 死者が甦る瞬間に立ち会った後、ワトソンは、ヘルシング教授とセワード教授の2人に連れられて、多くの屍体たちが乗合馬車の御者として働くロンドンの街を生者が御者の馬車に乗って移動し、モンタギュー街で探偵をしている弟のいるMという男に会い、
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