体験のデザインは、従来型のデザインとは相性があまり良くないのかもしれない。 従来の特定のもの(物理的なものであれ、ヴァーチュアルなものであれ)を対象にしたデザインは、ものの静的な性質(機能的には動作はしても生物のような生長という変化がないという意味での静的)を前提としていたのに対し、体験を対象にしたUXのデザインは元来、あちこち動きまわり、突然思いついたり、あるいは忘れたりで行動や思考、さらには好みや価値の優先順位がころころ目まぐるしく変わる人間の体験価値という動的すぎるものを対象にするため、個々のデザイン対象物に向かう才能スタンスも大きく変えざるを得ないと思うからだ。 実際、よく言われる体験のデザインは、ユーザーの体験を包括的にみることで、個別のデザイン対象物それぞれを別々に考えるのではなく、ユーザーの体験というひとつの生態系のなかの要素として、互いにつながり関係しあったものとしてデザイ