小学校で10万6830円、中学校では18万1906円──。これは、文科省が実施している「子供の学習費調査 」の2018年度の結果で、公立学校における年間の学校徴収金の平均である。ここには、給食費や修学旅行費、PTA会費などの各種会費、学用品、制服などの購入代金が含まれる。ちなみに、学校以外への教育的支出額(学校外教育費。具体的には学習塾や家庭教師、文化活動、レクリエーション活動など)は、小学校で21万4451円、中学校では30万6491円となっている。 1998年の中学校における学校徴収金は17万2934円、学校外教育費は26万6588円である。2018年と比べると学校徴収金は8972円の増だが、学校外教育費の方は3万9903円も増加している。ここ20年で学校教育費は大きく変わっていないものの、学校外教育費には大きな変化が生じている。 こうしたデータから、「教育に対する経済格差が広がってい
事務職員がPTA(Parents & Teachers Association)における「T」の立場で活動に参加しているかどうかはさまざまで、全国共通ではない。しかし、活動の適正性を担保するためにその専門性を発揮することで、負担軽減につながる話もある。 念のため確認しておくが、学校とPTAは別組織であり、PTAはあくまで任意団体である。そして強制加入や会費の強制徴収、個人情報の共有に問題があることに、世間の認知も広がりつつある。そこで、わたしは事務職員がアドバイザーとして関わることを勧めている。承知の通り、事務職員は教員採用試験ではなく行政職採用試験を受験し、教員とは異なる専門性を問われている。その中には法規に関する問いもあり、教職員の中では事務職員の相対的専門性が高いと考えるからである。 PTA役員といってもベテラン層ばかりでなく、ルーキー層かつフルタイムで働いている保護者も増えてきた。
AI活用から模擬授業まで!「Microsoft Education EXPO 2023 ~これからの教育のかたち~」(6/30)オンライン開催 【PR】日本マイクロソフト株式会社 会計業務を担うと、支払いに付随してさまざまな情報が入ってくる。運動部で言えば、日々の練習や試合・大会にかかる費用、または各種競技協会や連盟への負担金などがある。 昨今の部活動改革を踏まえ、わたしが部活動費の管理に関わる中で考えていることを述べておこう。負担金を中学校体育連盟に限定し、参加する大会も同様の範囲に絞ってはどうだろうか。そして、勝ち上がりは都道府県大会までに抑えれば、人的負担も財的負担も軽減される。エントリーできる大会は減るだろうが、各種競技協会や連盟への支払いはなくなる。あくまでも中学校の部活動という基準で捉え直すべきだろう。 このように、事務職員が得意とする財的な検討から、人的な負担軽減の検討につな
埼玉県川口市立小谷場中学校事務主査 栁澤 靖明この連載の一覧働き方改革のキーパーソン 学校事務職員「労働安全衛生法」という法律がある。その目的は「職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進する」だ。同法は、働き方改革が叫ばれる以前の2006年に改正され「学校教育の場でも労働安全衛生の必要性について指導を徹底すべき」という付帯決議が加えられた。 そして、学校現場でも衛生推進者や衛生管理者を中心に衛生委員会を立ち上げる取り組みが進んだ。わたしの勤務校がある埼玉県川口市では、各学校の衛生委員会とは別に、川口市の教職員全体(幼2園、小中78校、高1校の2500人前後)を対象とした総括労働安全衛生委員会を組織している。教育局の充て職と小中校長会の代表、教職員の代表6人が参加している。現在、わたしも教職員代表として委員7年目を迎えている。 総括組織のみならず、各校での
埼玉県川口市立小谷場中学校事務主査 栁澤 靖明この連載の一覧働き方改革のキーパーソン 学校事務職員前回、業務移行はその効果を見越してすべきであり、移行する業務は事務職員が担当した方がベストな結果となるものに限定したいと述べた。教員の雑務排除をインセンティブにする業務移行には反対である。「ベストな結果」については次回以降で詳しく述べるとして、今回は「シナジー」をキーワードに、事務職員の組織化を考えたい。 まずは、働き方改革答申にも出てきた「共同学校事務室」の可能性を探っていこう。これに似たものに「共同実施」という施策があり、提案されて20年近くがたつ。 ごく簡単に説明すると、両者共、事務職員が共同で仕事をする組織であり、拠点校参集型とセンター常駐型がある。そして共同実施の進化系として、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に「共同学校事務室」が規定された。詳細は条文を参照してほしい(第47条
AI活用から模擬授業まで!「Microsoft Education EXPO 2023 ~これからの教育のかたち~」(6/30)オンライン開催 【PR】日本マイクロソフト株式会社 では、そのつかさどるべき事務とは何であろうか。学校事務の定義はなかなか難しい。「事務職員の仕事=学校事務」ではなく、あくまで「事務職員の仕事≒学校事務」であり、中には校長や教員が担当する学校事務もある。例えば、出欠状況の確認や成績管理も学校事務ではあるが、一般的に事務職員は担当していない。 そこで参考になるのが、拙著『本当の学校事務の話をしよう』(太郎次郎社エディタス)である――と書きたいところだが、都道府県が市区町村に通知している標準職務表を参照しておこう(もちろん、拙著の方が具体的で分かりやすいことは言うまでもない)。 埼玉県を例に説明しよう。例えば、企画運営という領域では「学校事務の企画運営に関すること」や
2017年6月、松野博一文科相(当時)は中教審に「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」諮問し、学校の働き方改革はクランクインした。その答申が19年1月に示されている。 まず、最重要ポイントは「管理職が学校運営の責任者としてリーダーシップを発揮しつつ(中略)主幹教諭、指導教諭、事務職員等のミドルリーダーがそれぞれのリーダーシップを発揮」すべきと示した部分だろう。そう、学校組織の中で事務職員をミドルリーダーに位置付けたのだ。さらに、教育委員会に「事務職員の校務運営への参画」を推進するよう求めている。具体的には「総務・財務等に通じる専門職」としてリーダーシップを発揮することが期待されている。また、基本的に一人職である事務職員には、法制化された「共同学校事務室」の活用により、経験年数によらない職務内容の平準化、高いレ
縁の下の力持ち――。これはわたしたち、学校事務職員(以下「事務職員」)を表現する言葉としてよく使われる。わたしはこの言葉が好きではない。いや、正確に言えば「事務職員だけに当てる言葉としてふさわしくない」と考えている。 確かに、学校という認知度が高い場所で働き、教員らと同じく義務教育費国庫負担制度が適用される職員であるにもかかわらず、その仕事内容は霧に包まれているがごとく知られていない。そのため、必要な人材ではあるが、何か具体的な期待を寄せられることもなく、それ故「縁の下の力持ち」というイメージで表現されることが多いのだろう。しかし、わたしは子どもたちを〈縁の上に持ち上げて、それを支えていくのは全ての教職員〉という構図が正しいと考えている。 本連載の目的は、働き方改革の中教審答申から事務職員に求められている役割や期待を明らかにし、これまでの標準職務や校務分掌をベースにしながらも、新たな働き方
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