多くの子供が口にする粉ミルクから放射性セシウムが検出された。子供は放射性物質による被(ひ)曝(ばく)の影響が大きいとされ、食品中の放射性物質の新基準値作りを進める厚生労働省は、新たに粉ミルクなどを対象にした「乳児用食品」の基準値設定を決めている。親の不安は膨らむが、専門家は冷静に対応する必要があると指摘する。 「チェルノブイリの原発事故では、放射性ヨウ素に汚染されたミルクなどを大量に飲んだ子供に甲状腺がんが発生したと言われている」。京都医療科学大の遠藤啓吾学長(放射線医学)は放射性物質の影響についてこう説明する一方、「今回は検出された数値が極めて小さい」と指摘。「粉ミルクはお湯で溶いて飲むため、さらに薄まる。乳児の体に影響はほとんどないと考えられる」と分析する。 東京電力福島第1原発事故後、市民団体の調査では母乳から1キロ当たり最大36・3ベクレルの放射性ヨウ素を検出。厚労省も母乳調査で最