歓声と野次は、サッカーのスタジアムに付き物だ。 事件は今月初め、ユベントス・スタジアムで起こった。 ウディネーゼGKブルキッチがゴールキックの動作に入ると、ユベントス応援団席にあたる背後のゴール裏から、一斉に激しい罵声が浴びせられた。 「クソッたれがー!」 ブルキッチはぎょっとした。彼を口汚く罵ったのは、その日ゴール裏席を埋めていた1万2000人の小学生たちだった。 ライトアップされたグラウンドに目を輝かせ、一心に小旗を振るちびっこユベンティーノたちが、試合の間中、ブルキッチの集中力を削ぐために、ニコニコしながら「クソったれー!」と大合唱していた。 この光景が、TV中継やニュース映像を通して全国に流れると、大人たちは面食らった。 子供たちの無邪気さと卑しい言葉遣いとのギャップに驚愕し、普段カルチョと縁遠い母親たちも、引率者が子供たちをたしなめるどころか誰一人止めようともしなかったことに唖然