底辺託児所には男性のボランティアも何人か来ており、保育士になるのが目的で実習をしている人もいれば、児童心理学やソーシャルワークを学んでいる人などもいる。わたしが働いている曜日に来ているボランティアにも、ポールという男性がおり、くりくりの亜麻色の巻き毛にジョン・レノン眼鏡をかけ、70年代の日本の少女漫画に出てくる少年がそのままおっさんになったような感じの長身のヤサ男である。 英国でも保育の世界にはまだ珍しい男性の存在となると、圧倒的多数の女性ボランティアからランチ時のゴシップネタにされることが多いのは成り行き上しかたがない。 「すごいお坊ちゃん育ちみたいで、ボーディング・スクールに通ったみたいよ」 「何冊か本を出版したみたいで、ブッカー賞とまでは行かなかったけど、何かの賞にノミネートされたことがあるみたい」 「父親はBBCのカメラマンで、母親は著名なジャーナリストだって」 「・・・で、何でそ