選挙の立候補者が「選挙運動の自由」に名を借り、街頭演説などで人種差別発言をする「選挙ヘイト」が近年問題になっている。法務省や警察庁は、昨年の統一地方選を前に、選挙中でも取り締まるよう各地の法務局や警察、自治体に通知していた。しかし、7月5日投開票の東京都知事選でも、目に見える対応はなかった。ヘイトスピーチ対策の実効性のなさが、またも露呈した。(共同通信ヘイト問題取材班) ▽蔑称を連呼 都知事選告示日の6月18日、「日本第一党」党首の桜井誠候補(48)は港区の中国大使館前でマイクを握った。中国の蔑称「支那」を連呼し「武漢肺炎をまき散らした支那中共政府に怒りの声を共に上げよう」と呼び掛け、「支那人は10万円で簡単に人を殺す」などと演説した。 大使館から出てきた車に向かって「おい、支那人のねえちゃん、答えてみいや」「普通だったら石投げられて、車燃やされて当たり前なんだよおまえら」と暴言を吐いた。