盲目の女性が死者を呼び寄せる。「口寄せ」と呼ばれる儀式を受け継いできた東北地方の巫女(みこ)が姿を消そうとしている。厳しい修行が敬遠され、福祉政策の充実で生計を立てる手段としての意味も薄れている。自殺者の遺族を癒やす効果があったとされる彼女たちの言動から学ぶことはないのか。国から研究費の助成を受けた大学のチームがその「秘密」に迫る研究に乗り出した。 目の不自由な巫女は、青森県の「イタコ」が有名だが、それ以外の東北各地にも存在していた。 秋田「イタコ」、岩手と宮城が「オガミサマ」、山形「オナカマ」、福島「ミコサマ」。近親者を亡くした人たちからの要請で「死者の霊を体に乗り移らせ、言葉を伝える」という儀式が「口寄せ」だ。依頼者のタイプに合わせて定型の口上を使い分けているとの見方もあるが、健康や縁談、商売などのよろず相談にも応じている。いずれも国の無形民俗文化財に選ばれている。 かつて東北に