かわほり‐おうぎかはほりあふぎ【蝙蝠扇】 〘 名詞 〙 ( 開いた形がコウモリの翼をひろげた形に似ているところから ) 何本かの骨に紙をはった扇。扇子(せんす)。かわほり。 [初出の実例]「今日中納言行成持二蝙蝠扇一、是専不レ然事也」(出典:小右記‐長和四年(1015)閏六月二四日)蝙蝠扇の語誌( 1 )コウモリの広げた翼にヒントを得て作られたかという〔名語記・河海抄・塵添壒嚢抄・古今沿革考〕。威儀用の檜扇に対し、略式なものであったらしい。 ( 2 )初めは細骨の片面にだけ紙を張った上に絵を描き、五本骨、七本骨などの種類があった。室町時代には骨の両面に紙を張る今日の扇子の祖型ができ、金銀泥絵などの華美なつくりとなった。先端を強く反らせたものを末広ともいう。 ( 3 )一二世紀はじめの「源氏物語絵巻」に描かれており、実物は厳島神社蔵のものがある。
