傀儡と呼ばないで ちょっと歴史に興味がある人なら、「家康、秀忠、家光、家綱……」と徳川15代将軍を暗唱できるかもしれない。もうちょっと興味がある人なら、「尊氏、義詮、義満、義持……」と足利16代15人将軍も暗唱できるかもしれない。しかし鎌倉将軍を暗唱できる人は少ないのではないか。たぶん聞いてみても、 「頼朝、頼家、実朝、あとお飾りのちびっ子将軍だっけ?」 ということになるんじゃないかと思う。まあ、おおむねそれで合っている。「お飾り」「ちびっ子」という言葉に、それぞれちょっとだけ異論があるにせよ。 なにしろ実朝のあとの鎌倉幕府の将軍ときたら、文豪司馬遼太郎でさえ、 ―征夷大将軍は源氏の出の者にしか授けられない― などと、かつて存在した事実すら抹殺するかのごとき文章を書いているくらいなのだ。 今回はそんなかわいそうな将軍たちを紹介してみましょう。 残念賞としての摂家将軍 鎌倉4代将軍・藤原頼経