私が仕掛けた興行の数々。大物ミュージシャンやボクシング界のスーパースター、ネッシー、オリバー君、アラビア大魔法団といった連中はみな世間の常識の外にいる存在だ。 だから彼らの相手をするには、おのずと「非常識な力」が強く求められることになる。 −−− オリバー君の全国ツアーも終了し、また私は一時の休暇を楽しんでいた。気に入った本を読んだりしていたが、相変わらず常に頭の中は次のターゲットを探してフル回転していた。そんな時、当時人気急上昇中だったプロレスラーのアントニオ猪木から連絡が入った。真剣な声で相談したいことがある、と言うのだ。アントニオ猪木とは、その頃結婚していた女優の倍償美津子と一緒にペンシルバニアやフィラデルフィアにプロレスを見にいったりして懇意にしていたのだ。 久しぶりに会って食事をしながら話を聞くと、彼は熱く「ある構想」を打ちあけてくれた。 「康さん、僕はモハメッド・アリと試合がし