第28回 読み直した『はみだしっ子』（三原順著）の衝撃(ヤマザキマリの地球のどこかでハッスル日記) - 女性自身［光文社女性週刊誌］社会のありのままを知ることが、 大人になってからの強さに繋がる もしかすると、安穏としたご家庭で暮らす平和な少女達は、そんな特異な家庭環境の私とは違って、ギムナジウム（欧州の中間一貫校）を舞台に、美しい少年少女たちが可憐な欧州世界を描き出している19世紀の物語と同様、そこにあるのは自分とは遠い世界の出来事で、私が感じていたような毒的リアリティを持つ作品として読んでいたわけではないのかもしれません。でもどんな環境に置かれた少女たちも、少なからずあそこに出てくる個性がばらばらな4人の主人公たちの誰かには、自分に近しい何かを感じて、感情移入していたのでしょう。 『はみだしっ子』に出てくる4人の少年たちは、少年の姿こそしてはいても、濁りのないビジョンをもたらされた立派な人間たちであり、年だけ取った大人の虚栄や弱さを容赦なく察知し、鋭く見抜いていき、その現状を受け入れることに苦しみ、落胆しつつも、な
