安倍晋三元首相が銃撃された現場に献花に訪れ手を合わせる人たち =8日午後、奈良県奈良市 護憲派から罵詈雑言 安倍晋三元首相が凶弾に倒れた。日本丸は嵐の中で羅針盤を失った感がしたが、参院選結果は「死せる孔明、生ける仲達を走らす」の図で護憲政党が凋落(ちょうらく)し、改憲政党は3分の2を占めた。安倍氏の「日本を取り戻そう」が蘇(よみがえ)る。 取り戻すべき日本を安倍氏は「美しい日本」と表現した。逆に言えば、戦後日本は「醜い日本」。国際社会の平和創出に汗を流さず、自国の守りすら他国に依存し、歴史と伝統を顧みず、人権と個人至上の鵺(ぬえ)のような国―。いずれも現行憲法の所産だ。 安倍氏は改憲に政治生命を懸けたので護憲派からは蛇蝎のごとく嫌われた。「ペンは剣よりも強し」というが、安倍批判は悪意の刃(やいば)を思わせた。安倍氏死亡を伝える各紙9日付の中で唯一、読売は「『戦う政治家』安倍氏の首相退任後も