この春、遅きに失したとはいえ高校の無償化が曲がりなりにも実現した。さて今度は大学の無償化論議の出番だと思いきや、現実は真逆へ向かっている。国の財政再建圧力で、大学への援助が削られそうな雲行きだ。学費が上がれば、日本の未来を担う才能がますます貧困に埋もれてしまう。 子どもの教育で優先されるべきは、機会均等原則の確保だろう。ところが、この国は義務教育を除いてその責任を放棄し、世の親の財布につけ回してきた。よって、親の収入の多寡が子どもの教育格差となって立ち現れてきている。 この国は、子どもの教育を人権問題とは心得ていないようだ。国際人権規約をめぐる留保の問題はその象徴だろう。日本は一九七九年に批准したのだが、そのうち「経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約」の一三条二項の一部を留保してきた。