入社早々辞めるのは、仕事についていけないダメな若手──。そう考えるのは大間違いだ。企業によっては、即戦力で活躍する優秀な新人ほど早期離職するケースが少なくない。そんな有望株が語る離職理由と、人事部や先輩社員が考える理由はかなり異なる。 2019年1月、都内の大手材料メーカーA社の社内は騒然となった。入社3年目の若手社員、飯沼和歌子氏(仮名)が突然、退職を願い出たからだ。彼女がその意志を伝えに行くと、当時の人事トップはあまりに呆然として言葉が出てこなかったという。 人手不足が深刻化する中、苦労して採用した若手が辞めるのは残念なことではある。だが「そうはいっても、たかだか3年目の社員が1人辞めただけで大げさではないか」と思う人もいるに違いない。実際、産業界全体を見ても、この10年、大卒新入社員の3年以内離職率は一貫して3割程度で推移。年間200人の新人が入社する同社も事情は同様で、入ってきた若
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