建国60周年を迎えた中国。本誌10月7日号も中国を特集しましたが、いささか首を傾げるトーンの記事も散見されました。 特集の最初の記事は、「一党独裁を脅かす権力闘争が始まった」というタイトル。これには興味を惹かれますね。「一党独裁を脅かす」とは、どんな事態が進行しているのか。思わず読みふけったのですが...。 要は、「人民派」と「エリート派」という2つの勢力が、ほぼ拮抗した力を持ち、胡錦濤国家主席の後継の座を争っている、というものでした。 まあ、そうなんでしょう。中国共産党は、建党初期から、決して一枚岩ではありませんでした。毛沢東だって、長征の過程での党内闘争に勝ち抜いて権力を握りました。でも、党内での派閥争いが、どうして「一党独裁を脅かす」ことになり、「中国に多党制や民主主義をもたらすかもしれない」と言えるのでしょうか。 本文の冒頭には、「共産党の一党独裁が次の60周年を迎えられる可能性は