今のミステリー界は幹線道路沿いのメガ・ドンキ並みになんでもあり。そこで最先端の情報を提供するためのレビューを毎月ご用意しました。 事前打ち合わせなし、前月に出た新刊(奥付準拠)を一人一冊ずつ挙げて書評するという方式はあの「七福神の今月の一冊」(翻訳ミステリー大賞シンジケート)と一緒。原稿の掲載が到着順というのも同じです。 オミクロン流行にウクライナ侵攻で緊迫する国際情勢と、気の休まらないことは多いですが、せめて読書で気晴らしをどうぞ。 野村ななみの一冊:鴨崎暖炉『密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック』(宝島社文庫) 「このミス」大賞文庫グランプリ受賞作は、とにかく密室づくしだ。ある判例により、密室殺人が多発している日本。主人公が泊まる館は陸の孤島となり、さらに連続密室殺人が発生する。一人二人と消えていく関係者、次々と現れる多様な密室。主人公たちがその謎に挑む一方で、繰り返される事件に