3月13日、日本のスペースワン社が新型ロケット「カイロス」の初打ち上げに臨んだ。しかし、発射から5秒後に機体が爆発。政府から依頼された小型の情報収集衛星も失われた。新設されたスペースポート紀伊(和歌山県串本町)からの打ち上げも今回が初めてだった。失敗の原因は本稿の執筆時にまだ公表されていない。 なぜいま日本のベンチャーが小型ロケットを開発しているのか? なぜ民間のロケット射場が和歌山に建設されたのか? 失敗したカイロスのデータ解析を待つ間に、民間がロケットを開発し、射場を建設する意義を、あらためて俯瞰してみたい。 個体燃料ロケットの強み 小型ロケットに対する需要は、いま国内でも確実に伸びつつある。そのニーズに合わせ、宇宙ベンチャーであるスペースワン社はカイロスを開発した。 国内の民間ロケットとしてはMOMO3号(インターステラテクノロジーズ社)が知られているが、同機は2019年、地上100