●腸内フローラ分析とは この7年ほどで、腸内フローラ(腸内細菌叢)分析の分野において、画期的なイノベーションが起こっている。腸内フローラは、アレルギー、肥満とやせ、がん、糖尿病、うつ、認知症、アンチエイジングと、現代人の関心の高い健康の問題にことごとく関係している。英有力科学誌「Nature」も特集増刊を出版し、今年2月にはテレビ番組『NHKスペシャル』でも特集され話題となった。ビジネスでは、ヒトゲノムの分析よりも短期的かつ直接的に大きな影響があるだろう。 ひとりの人間が持つ腸内細菌は1~1.5kgで、最大の臓器である肝臓と同じくらいの重さだ。細胞数は人体の60兆を超える100兆以上、種類は約1000種類あり、それぞれが相互に必要な物質を供給し合い、主に大腸の中で共生している。エコシステムというか、それ以上のちょっとした「宇宙」ともいえるだろう。腸内細菌の多くは、嫌気性で酸素に触れると死ん
このところたったひとつの世界経済のけん引役と目されている米国経済を、再びリーマンショックの悪夢が襲うのではないか――。今、専門家の間で米国経済のリスクとしてにわかに注目を集め始めているのが、自動車を担保にしたサブプライムローンだ。あのリーマンショックの引き金となり、いくつもの金融機関を壊滅させたサブプライムローンの融資対象を、住宅から自動車に替えた低所得者向けのローンである。 今月に入って、最も保守的で手堅い経営戦略をとる銀行の一つとして名高いウェルズ・ファーゴが、この自動車サブプライムローン市場を抑制する方針を打ち出して、我が世の春を謳歌していた米自動車業界に衝撃が走る一幕があった。八方塞がりの日本経済や高値警戒感が強まる国内株式市場を引っ張る大黒柱と期待されていた米国経済に、“異変のタネ”が存在することが浮き彫りになった格好だけに、日本も決して無関心ではいられない。 「私にはなんの問題
アジア太平洋地域の自由貿易を高らかに謳い上げる合意ができるのか、それとも先の見えない漂流の道をたどるのか――。あのTPP(環太平洋経済連携協定)交渉が、ついに大詰めを迎えている。 新聞報道によると、先週金曜日(6日)17時半過ぎのこと。首相官邸を訪ねたロバート・ルービン元米財務長官は、安倍晋三首相に「劇的に機運が変わった。オバマ米大統領も一生懸命やろうとしている」と強調し、全体合意の前提となる日米2国間協議の合意に向けた首相の政治的決断を懸命に促したという。 元来、TPPは2006年5月に発効したシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国(P4)の経済連携協定だ。同協定には、加盟国間のすべての関税の90%を撤廃することなど自由貿易を拡大する意欲的な規定が含まれている。日本は歴代政権の優柔不断と通商官僚のサボタージュが重なり、アメリカ、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、ペルー
●レクサスにもブランド戦略はなかった 自動車業界でも同様の特徴がみられる。トヨタの高級ブランド車「レクサス」は米国市場では成功しているが、ヨーロッパを含めたその他の海外市場では苦戦している。ドイツの高級車ブランド「アウディ」「メルセデスベンツ」「BMW」に差を広げられ、世界での販売台数は、この3社合計の10分の1となっている。トヨタ社長の豊田章男氏はレクサス・ブランドの世界戦略を見直すにあたり、同社には流通チャネル戦略はあったがブランド戦略はなかったということを素直に認めた。 トヨタのような日本を代表する一流企業ですら、その成功はかつて非関税障壁だと外国勢に非難された垂直型流通チャネル制覇によってもたらされたものだ。つまり、そもそもトヨタはブランド戦略を持つ必要も、それについて学ぶ必要もなかったのだ。 家電業界でも、旧松下電器産業(現パナソニック)のナショナルショップに代表されるようなチェ
●ブランド戦略などなかった理由 自動車業界も同じで、1950年代に特約販売店(ディーラー)のネットワーク構築にいち早く着手したトヨタ自動車や日産自動車が市場の50%以上のシェアを占有し、その後も長い間、首位争いをする歴史が続いた。最初は「1県1ディーラー」のシステムをとっていたが、60年代になり個人の自家用車保有が急激に伸びると、これでは対応できなくなる。より幅広い層に訴求してシェアを拡大するために、1県1ディーラーの建前を守りながらも販売チャネルを増やす方策として、次から次へと新ブランドを発売した。 ブランドが違えば新チャネルをつくっても既存チャネルからの苦情に対処できるし、新しいブランドを既存のモノと差別化するためにも同一のチャネルで販売しないほうがよい。実際のところ、異なるチャネルで販売されるブランド間の違いはあまりなく、極端なケースでは、同一コンセプトの車種をネーミングを変更するこ
日本企業はマーケティングが下手だと、海外市場でいわれることが多い。これは、別に海外市場に限ったことではない。国内市場においてさえ、消費者の心理を洞察した上で、その考え方や感じ方の枠組みを自社のマーケティング活動で変えていこうとする強い意図が感じられないことがよくある。 しかし、10月に上梓した『合理的なのに愚かな戦略』(日本実業出版社)で考察したとおり、よく考えてみると日本企業が消費者の心理や行動に疎いのは、ある意味で当然のことだろう。なぜなら、驚くべきことに消費財を製造販売している日本の大手企業の中には、「消費者と直に売買交渉をしている」という自覚や経験のない企業が多いからだ。自動車、化粧品、家電、ビールなどのメーカーの中には、戦後いち早く垂直型の流通チャネルを構築するのに成功した結果として、その業界においてトップの地位を築いた企業が多い。卸問屋の特約店化や小売販売店の系列化を進めること
日本マクドナルドの迷走が止まらない。売り上げ減少が続く中で、中国産鶏肉の使用期限切れ問題が発生したのに加え、商品代金の過剰徴収も発覚した。同社関係者は「一連の不祥事の背景には、本部の経営方針が揺れ動き、現場を支えてきた優秀な店員が大量に辞めていることがある」と指摘する。その本部は収益回復に向け、初めてとなる退職勧告の準備も始めた。 7月、マクドナルドにも商品提供していた中国・上海の食肉加工会社が、期限切れの食材を偽装して出荷していた事件が大きく報道された。これを受け、同社のサラ・カサノバ社長は記者会見で「事件に憤りを感じる」と述べ、被害者としての立場を強調した。しかし、この姿勢には一般の顧客だけでなく、全国の店長からも本部へ批判が多数寄せられた。 代金誤徴収の問題も、本部が販売価格を急に変更したために発生したものだった。その事情を同社関係者は次のように明かす。 「7月以降、鶏肉を使った商品
トランス脂肪酸は脳梗塞や心臓病のリスクを高めることから、世界的に規制の動きが強まっています。トランス脂肪酸は、植物油など液体状の油脂や、マーガリン、ショートニングのような固体状の油脂を製造する加工工程で生成します。欧米やWHO(世界保健機関)などの専門機関は、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギーの1%以下にするよう勧告しています。これを受けて米ニューヨーク市はトランス脂肪酸を含む油脂製品の使用を禁止するという厳しい措置をとっています。また米国、カナダ、韓国では、加工食品についてトランス脂肪酸など4種類の脂質について含有量を表示することが義務付けられています。 しかし、日本では「日本人のトランス脂肪酸の摂取量はWHOの目標を十分に下回っている」(食品安全委員会)などとして、基準値の設定や表示は義務付けられておらず、野放し状態です。 こうした中、トランス脂肪酸の新たな健康リスクが明らかにされ、ト
日本マクドナルドホールディングスの業績悪化に歯止めがかからない。同社は10月7日、緊急記者会見を開き、14年12月期の連結決算が売上高は前期比15%減の2210億円、営業損益は94億円の赤字(前期は115億円の黒字)、最終損益は170億円の赤字(前期は51億円の黒字)になるとの見通しを発表した。営業赤字は01年の上場以来初、最終赤字は11年ぶり。証券アナリストは「今期業績は厳しいと予想していたが、まさかここまでひどいとは」と、急遽発表された業績見通しに絶句した。 業績悪化の主因は客離れだ。仕入先だった中国食肉加工会社が使用期限切れ鶏肉を使っていた事件が発覚した7月以降、同社メニューの安全性への不信から客離れが加速し、既存店売上高は8月が前年同月比25%減、9月は同17%減と大きく落ち込んだ。8月の既存店売上高減は7カ月連続、客数減は16カ月連続だった。業績回復の不透明感が一層強まる中、マク
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