小惑星リュウグウの試料から、新たに約2万種類の有機分子や黒い固体有機物が見つかった。生物由来のアミノ酸に特有の左右構造の偏りは検出されなかった。 【2023年2月27日 JAXA (1)/(2)】 「はやぶさ2」が地球に持ち帰ったリュウグウの試料を分析している初期分析6チームのうち、「可溶性有機物分析チーム」(リーダー:奈良岡浩さん(九州大学))と「固体有機物分析チーム」(リーダー:薮田ひかるさん(広島大学))の分析結果が発表され、全チームの結果が出そろった。 約2万種の有機分子を検出、左右型アミノ酸の比はほぼ1:1 可溶性有機物分析チームは、リュウグウ試料のうち直径1mm以下の微粒子からなる「集合体試料」を使い、水やアルコールなどの溶媒に溶ける成分を抽出してどんな物質が含まれるかを調べた。 元素分析では、揮発性の軽元素(炭素(C)・窒素(N)・水素(H)・硫黄(S)・酸素(O))が重量比
2月17日にH3ロケット1号機の打ち上げが自動中止となった原因が、主エンジン制御機器に電力を送る配線のスイッチが数秒間オフになったためであることがわかった。 【2023年2月24日 JAXA/文部科学省】 JAXAの新型ロケット「H3」の試験機1号機打ち上げが主エンジン着火後に自動中止となった事象(参考:「日本の新型ロケット「H3」、メインエンジン点火後に打ち上げ中止」)について、22日に文部科学省で開かれた「宇宙開発利用に係る調査・安全有識者会合」で、詳しい状況が明らかにされた。 2月17日、主エンジンの着火後に打ち上げ中止となったH3ロケット試験機1号機(左)(提供:JAXA、以下同) JAXAによると、ロケット打ち上げのカウントダウンシーケンスは打ち上げ6.3秒前までは正常に進み、2基の主エンジン「LE-9」に着火した。LE-9の推力は規定値の約90%まで発生し、各機器が正常であると
「はやぶさ2」が地球に持ち帰った小惑星リュウグウの試料のうち、第1回タッチダウンで採取されたA室試料の新たな画像が公開された。 【2021年2月10日 JAXAはやぶさ2プロジェクト】 昨年12月6日に探査機「はやぶさ2」のカプセルによって地球に送り届けられたリュウグウの試料は、現在JAXA相模原キャンパス内のキュレーション施設で粒子の観察や測定が進められている。2月4日の記者説明会では、サンプルキャッチャーの3つの部屋にそれぞれ入っていた試料のうち、2019年2月の第1回タッチダウンで使われた「A室」の試料の新しい画像が公開された。 2月4日の記者説明会で公開されたA室試料の画像。画像クリックで表示拡大(提供:JAXA、以下同) サンプルキャッチャーが開封された後、各部屋の試料はまず漏斗状の「回収容器」に移された。現在は窒素で満たされた装置の中で、回収容器からさらに直径21mm、深さ5m
昨年7月に日本のH-IIAロケットで打ち上げられたアラブ首長国連邦初の火星探査機「HOPE」が、日本時間10日未明に火星周回軌道に投入された。 【2021年2月10日 UAE Space Agency】 アラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機「HOPE(ホープ)」は昨年7月20日に日本のH-IIロケットによって鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、約半年間かけて火星に向かっていた(参照:「H-IIAロケット打ち上げ成功、火星探査機HOPE搭載」)。到着予定だった9日から10日にかけては管制を行うUAEのムハンマド・ビン・ラシード宇宙センターの様子がYouTubeなどで中継され、UAEのみならずアラビア語圏を中心に盛り上がりを見せる中、日本時間の10日午前1時過ぎ、無事に周回軌道に投入されたことが確認された。 これまでに火星探査機を周回軌道に投入したり着陸させたりしたのは、米国、旧ソ
火星表面に着陸して約2年調査を続けている探査機インサイトは、プローブで地下数mまで掘り進める計画だったが、土壌の特性が予想外だったため掘削作業を断念することになった。 【2021年1月21日 NASA JPL】 2018年11月に火星に着陸したNASAの探査機「インサイト」は、従来の火星着陸機が表面の地形や岩石を調べていたのに対して、地震計など火星の内部構造を調べることに特化した観測装置を搭載している。その一つである熱流量測定装置「HP3(Heat Flow and Physical Properties Package)」は、プローブで地下を最低3m掘り進んでから火星内部の温度を計測する予定だった。 火星で探査を行う「インサイト」の想像図(提供:IPGP/Nicolas Sarter) 通称「モグラ(mole)」と呼ばれるプローブは長さ40cmほどで、内蔵されたハンマーで先端を杭のように
5月21日未明、宇宙ステーション補給機「こうのとり」9号機を搭載したH-IIBロケット9号機が種子島宇宙センターから打ち上げられた。 【2020年5月21日 三菱重工業/JAXA】 5月21日2時31分0秒、宇宙ステーション補給機「こうのとり」9号機(HTV9)を搭載したH-IIBロケット9号機が、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。打ち上げから約15分7秒後、「こうのとり」9号機はロケットから正常に分離され、打ち上げは成功した。 打ち上げ前のH-IIBロケット9号機。ブルーのライトアップは新型コロナウイルス感染症に対応する医療従事者などへの謝意を表したもの(提供:JAXA) その後、「こうのとり」9号機は通信と姿勢も正常であることが確認され、国際宇宙ステーション(ISS)へ向けて順調に飛行している。5月25日21時15分ごろにISSのロボットアームによってキャプチャー(把持)
「はやぶさ2」が地球帰還に向けて第2期のイオンエンジン運転を開始した。9月まで運転が行われ、11~12月に地球に帰還する予定だ。 【2020年5月18日 JAXA はやぶさ2プロジェクト】 昨年11月13日に小惑星リュウグウを出発した探査機「はやぶさ2」は、同12月3日から今年2月20日まで第1期のイオンエンジン運転を行ってリュウグウから離れる軌道に移った後、今年末の地球帰還を目指して慣性飛行(推力を使わない公転運動)を続けてきた。(参照:「「はやぶさ2」地球帰還を開始」/「「はやぶさ2」、第1期イオンエンジン運転完了」 ) 「はやぶさ2」の地球帰還までの軌道と運用。9月まで第2期イオンエンジン運転を行い、その後はスラスターでの精密誘導を経て11~12月に地球に到達する(※各軌道の線は概念的なもので、違いを誇張して描かれている)(提供:JAXA) 5月12日7時00分(機上時刻、日本時間)
月周回衛星「かぐや」の観測データから、月の表面全体から炭素が流出していることが明らかになった。月が誕生したときから炭素が存在していたことを示す結果で、月の誕生と進化について見直す契機となりうる。 【2020年5月14日 大阪大学】 原始地球に火星サイズの天体が衝突したことで月が誕生したとする「ジャイアントインパクト(巨大衝突)説」によれば、誕生直後の月は火の玉のような高温状態で、水などの揮発性物質は残らないと考えられていた。実際、約50年前のアポロ計画によって持ち帰られた岩石試料からは揮発性物質が見つからず、ジャイアントインパクト説の証拠の一つともなっていた。 最近になって、高精度化した分析装置により、アポロの試料からわずかながら水や炭素などの揮発性物質が発見されたことが報告され始めた。そして2019年には、月を周回するNASAの探査機「LADEE」が水を直接観測したという発表があった(参
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