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  • ウクライナ「義勇兵」を各国がスルーする理由──「自国民の安全」だけか? - 塗り替わる世界秩序|六辻彰二|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    ウクライナ政府は世界に向けて、ロシアと戦う「義勇兵」を募っているが、各国政府はこれに慎重な姿勢を崩さない。 ・ウクライナには2014年以降、すでに「義勇兵」が数多く集まっていたが、戦争犯罪や人種差別といった問題が指摘されてきた。 ・各国政府には、「義勇兵」として実戦経験を積んだ者が帰国した場合、自国にとって逆にリスクになるという懸念があるとみられる。 ウクライナ政府が「義勇兵」を呼びかけているのに対して、どの国の政府もうやむやの反応が目立つ。そこには「自国民の安全」という表向きの理由以外にも、「義勇兵」が逆に自国の安全を脅かしかねないことへの懸念がある。 「義勇兵」呼びかけへの警戒 ロシアによる侵攻に対抗して、ウクライナ政府は外国から「義勇兵」をリクルートしている。ゼレンスキー大統領は「これは...民主主義に対する、基的人権に対する...戦争の始まりである...世界を守るために戦おうと

    ウクライナ「義勇兵」を各国がスルーする理由──「自国民の安全」だけか? - 塗り替わる世界秩序|六辻彰二|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
  • 「ロシアの侵攻がなければOK」か──ウクライナがテロ輸出国になる脅威|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    ロシア軍の侵攻を警戒するウクライナ軍兵士(2022年2月10日) Vyacheslav Madiyevskyy-REUTERS ・「CIAやユダヤ人の陰謀と戦うために」ウクライナを目指す白人過激派は後を絶たない。 ・なかには欧米の現体制を打倒する「内戦」を目指し、実戦経験を積むためにウクライナに向かう者もいる。 ・ロシアが侵攻するかしないかにかかわらず、「ウクライナ帰り」が欧米でテロに向かうリスクは高まっている。 「ロシア軍の侵攻があるかないか」だけがウクライナ危機の脅威ではない。たとえロシア軍の侵攻がなくても、ウクライナが世界中にテロを輸出する「第二のシリア」になるリスクは、すでに現実のものになりつつあるからだ。 軍事侵攻だけがリスクではない 「事態が急速にとんでもないことになりかねない」。2月10日、バイデン大統領はこう警告して、アメリカ国民にすぐさまウクライナから退避するよう呼びかけ

    「ロシアの侵攻がなければOK」か──ウクライナがテロ輸出国になる脅威|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
  • 新型コロナ、若者ばかりが責められて「中高年」の問題行動が責められないのはなぜか

    ・外出自粛などに関して行政やメディアが「若者」に特にフォーカスするのは不公平である ・これまで問題行動をとった人には中高年が目立ったが、それらが「中高年」という属性で語られることはなかった ・行政やメディアが主な「顧客」である中高年に緩いことは、世代間の不毛な争いを煽るものである 「若者」にターゲットを絞って外出自粛を呼びかけるのはバランスを欠いているだけでなく、発言力の小さい者の属性を強調するという意味で不公平と言わざるを得ない。 「若者」に特化することへの違和感 コロナをめぐる外出自粛で「自主隔離をしない無神経な若者」のイメージが流布している。 小池都知事は週末の外出自粛を呼びかける記者会見で、特に体力のある若者が無自覚のまま感染を拡大させている懸念があると発言した。メディアでも28日、「外出自粛のはずの下北沢や渋谷を闊歩する若者」が報じられた。 早稲田大学の卒業式後に卒業生らが繁華街

    新型コロナ、若者ばかりが責められて「中高年」の問題行動が責められないのはなぜか
  • 本物のバニラアイスを滅多に食べられない理由――知られざるバニラ戦争

    我々がいまべているバニラアイスには、天然バニラは入っていない!? mikafotostok/iStock. ・バニラビーンズの取引価格は銀の価格より高くなっている ・その背景には世界的なオーガニックブームや中国などでの需要増加とともに、主な供給地マダガスカルでのハリケーン被害などがある ・バニラ・ブームによってマダガスカルでは好景気に沸く一方、奪い合いが激化している 夏に向けてアイスクリームやソフトクリームの需要が伸びる時期だが、「物のバニラ」をべられることは減ってきた。原料のバニラビーンズがいまや高級品になっているからだ。 バニラ価格が500%上昇 現在、日で市販されているバニラアイスには「合成香料」や「香料」が使われることが多く、天然のバニラの種子、バニラビーンズを主成分とする「バニラ香料」が成分表示に記されているのは圧倒的に少数派だ。「物のバニラ」が出回らない最大の理由は、

    本物のバニラアイスを滅多に食べられない理由――知られざるバニラ戦争
  • 「一帯一路」に立ちふさがるバロチスタン解放軍とは―中国のジレンマ

    北京の釣魚台国賓館で開催された一帯一路フォーラムで会談したパキスタンのカーン首相(左)と李国強首相(4月28日)  Parker Song/REUTERS ・パキスタン南西部の分離独立を掲げる「バロチスタン解放軍」は、中国企業や中国人への攻撃をエスカレートさせている ・その背景には、「一帯一路」によって中国がパキスタン国内でのプレゼンスを高めていることがある ・中国にとってこの問題の対応は、一歩間違えればアドバンテージを損なうだけに、簡単ではない イタリアのように先進国でも中国の「一帯一路」を受け入れる国もあれば、開発途上国でもこれに抵抗する者もある。パキスタンのバロチスタン解放軍(BLA)は、中国政府の頭痛のタネとして急浮上している。 「バロチスタンから出て行け」 パキスタン南西部バロチスタン州で5月11日、高級ホテル、パール・コンティネンタルが4人の武装グループに襲撃され、治安当局との

    「一帯一路」に立ちふさがるバロチスタン解放軍とは―中国のジレンマ
  • アメリカがイランを攻撃できない理由──「イラク侵攻」以上の危険性とは

    アメリカはほとんど言いがかりに近い「イランの脅威」を強調して圧力を強めている。それは「フセイン政権が大量破壊兵器を持っている」という虚偽の情報に基づいて進められたイラク侵攻(2003)を想起させる。イラク侵攻はアメリカへの国際的信頼を失墜させ、「イスラーム国」(IS)台頭のきっかけになったが、イランを攻撃することはそれ以上のリスクを秘めている。 アメリカの軍事的圧力 5月上旬からアメリカは「イランの脅威」を理由にペルシャ湾に空母エイブラハム・リンカーンやB-52戦略爆撃機を相次いで派遣してきた。一方のイランは、ペルシャ湾上で短距離弾道ミサイルを移動させているとみられる。 コトの発端は2015年に結ばれたイラン核合意をトランプ政権が一方的に破棄したことにある。国際原子力機関(IAEA)もイランが合意に従っていると認めるなか、アメリカが具体的な根拠なしに合意を破棄した以上、イランが自衛に向かう

    アメリカがイランを攻撃できない理由──「イラク侵攻」以上の危険性とは
  • 謎多きスリランカ同時多発テロ──疑問だらけの事件を振り返る

    ・スリランカで発生した同時多発テロ事件に関して、当局はイスラーム過激派の犯行という見方を強めている ・しかし、そこには数多くの疑問が残り、事件には不自然な点が目立つ ・政府の対応にも不透明な点が目立つため、この観点からも事件の究明が求められる スリランカで発生した爆弾テロ事件は、いくつかの謎を抱えている。これまでに分かっていることからは、このテロ事件の奇妙さが浮き彫りになる。 誰が、なぜ 4月21日、インド洋に浮かぶスリランカの最大の都市コロンボなどで、キリスト教会や高級ホテルなど6カ所を狙ったテロ事件が発生し、現地在住の日人高橋香氏を含め200人以上の死者を出す惨事となった。 この事件の最大の謎は、誰が、なぜ、この犯行に及んだかということだ。 スリランカ当局は国内のイスラーム過激派による自爆テロとみて捜査している。 イースターの期間中のキリスト教会や、外国人が数多く滞在する高級ホテルが

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  • なぜ右傾化する高齢者が目につくか──「特別扱いは悪」の思想

    ・右傾化する高齢者が目立つようになっている。 ・ところが、現在の60~70代は若者だった50年前、極めて進歩的とみなされていた。 ・この大転換は、この世代に強い反権威的な傾向だけでなく、誰かが特別扱いを受けることへの拒絶反応によって生まれたとみられる。 少し前のことだが、「右傾化する高齢者」が一部で話題になった。とりわけ60代後半から70代前半のいわゆる団塊世代の場合、若い頃にむしろ進歩的だった人でも右傾化しやすい素地があるとみられる。そこには、この世代で特に強い「反権威主義」がある。 高齢者は右傾化しているか 一時、「右傾化する若者」がクローズアップされた。これは日に限らず、外国人や少数者に対するネット上でのヘイトや抗議デモなどで若者が目立ったのがその一因だろう。 ところが、その一方で、高齢者の右傾化もしばしば指摘されるようになっている。一昨年、朝鮮学校への補助金交付に賛成した(一部は

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  • インドの闇を象徴する世界一の彫像──日本メディアに問われるもの | 六辻彰二 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    ・インドで完成した高さ世界一の彫像は、インドの経済成長だけでなく、少数派であるムスリムの迫害をも象徴する。 ・しかし、日メディアはこれをほとんど報じておらず、そこには政府や経済界への忖度がうかがわれる。 ・独立した言論の府としての責任をメディアが果たさなければ、「知りたいように知る」風潮を後押しすることにもなる。 「世界一の...」と冠がつくものは一般的にメディアでよく取り上げられるが、10月末にインドでお披露目された高さ世界一の彫像に関しては話が別で、日メディアでその完成を伝えたのは、いくつかの海外メディアの日語版を除けば一部にとどまった。この彫像の建立は少数派の迫害と表裏一体といういわくがあり、インドの暗部を浮き彫りにするが、それと同時に日メディアの課題をもあぶり出している。 高さ世界一の彫像とは まず、世界一の彫像とはどんなものか。 これは「統一の像」と名づけられた、独立の指

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  • 日本はプラごみ問題でガラパゴス化するか──世界を動かす「ニュー・プラスチック・エコノミー」とは

    ・世界的なプラごみ規制の中心には、「脱プラスチック」に利益を見出す欧米の巨大企業がある。 ・それらは100パーセント再生可能なペットボトル開発などの技術革新だけでなく、世界的な物流の規格の統一にも着手している。 ・プラスチック製品の流通に関する世界標準が欧米の企業連合の手で生まれ、これに乗り遅れれば、日市場がガラパゴス化する可能性もある。 プラスチック製ストロー廃止に向けたうねりのなか、日でもプラごみ対策は徐々に広がっているが、世界の潮流はそれよりはるかに速く、大規模だ。そのため、携帯電話でそうだったように、プラごみ問題で日がガラパゴス化する可能性もある。 誰がプラごみ規制で世界を主導するか あらかじめ断っておけば、海洋汚染の問題や最大のごみ輸出先だった中国のごみ輸入禁止を受け、日でもプラごみ対策は少しずつ進んでいる。 環境省は7月、「プラスチック資源循環戦略」の策定に着手。これに

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  • 中国はなぜいま少数民族の弾圧を加速させるか──ウイグル強制収容所を法的に認めた意味 | 六辻彰二 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    中国政府はこれまで存在を否定していたウイグル人の強制収容所に法的根拠を与えた ・これはアメリカが人権問題を中国批判のツールとして用いることへの外交的な対抗手段である ・さらに、ウイグル問題で中国に批判的なトルコを抑え込む目的もうかがえる 中国政府は10月10日、これまで存在を否定していた、少数民族ウイグル人を収容する事実上の強制収容所である「再教育キャンプ」を、社会復帰を促すための「職業訓練センター」として法律に明記したことを明らかにした。 少数民族への弾圧が強化されることは習近平体制の強権化を大きな背景にするが、それがこのタイミングで行われたきっかけには、アメリカとの対立やトルコへの圧力といった国際的な要因があげられる。 「再教育キャンプ」とは 「再教育キャンプ」とは「過激思想にかぶれた」とみなされるウイグル人を拘束し、共産党体制を支持する考えに改めさせる強制収容所で、2018年5月段

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  • 中国「国家主席の任期撤廃」改憲案 ──習近平が強い独裁者になれない理由

    3月5日、中国で全国人民代表大会(全人代)が開会します。今回の最大の注目点は、国家主席の任期に関する憲法の条項の改正です。 今回の全人代で、国家主席の再選に上限がなくなれば、習近平主席の一強支配が強化、長期化することになります。そのため、憲法改正の動きは「皇帝の復活を促すもの」とみなされ、昨今の強気な外交とも相まって、各国に警戒が広がっています。 ただし、習近平への権力集中が進むことは確かですが、それは必ずしも習氏が「成功した独裁者」になれることを意味しません。むしろ、支配を強化するほど、習氏は自らの支配を掘り崩しかねないジレンマに直面することが見込まれます。 「独裁の完成」か? まず、今回の憲法改正について取り上げると、中国の憲法では国家主席がその座にいられるのは5年の2期まで、つまりその上限は10年間。米国大統領が4年の任期を2期までの最大8年間と定められているように、多くの国では公職

    中国「国家主席の任期撤廃」改憲案 ──習近平が強い独裁者になれない理由
  • 「対アフリカ援助で中国と協力する」日本提案の損得

    アフリカでの開発プロジェクトで協力しようと中国を誘った狙いは、日が負け続けてきたアフリカ向け援助競争に歯止めをかけること。果たしてうまくいくのか> 2017年12月31日付けの読売新聞は外務省関係者の証言として、「日政府が中国アフリカにおける開発プロジェクトへの参入を呼びかける方針」と報じました。同紙はその背景として、「日中国の経済圏『一帯一路』構想に協力することによって北朝鮮の核・ミサイル問題で中国の協力を引き出すこと」を指摘しています。 ただし、この指摘には欠けている部分があります。日政府が今回の協力を提案した直接的なきっかけが「北朝鮮」で、政府内で浮上する対中関係改善論に基づく「一帯一路への参加」がこれを後押ししたとしても、そこには援助の文脈で日にとっての必要性があったことも無視できません。つまり、日中国との協力を模索することは「アフリカ向けの援助競争にブレーキを

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  • 「貧困をなくすために」宇宙進出を加速させるアフリカ 「技術で社会は変えられる」か

    12月26日、南西アフリカにあるアンゴラの初めての人工衛星アンゴサット1(Angosat-1)がロシアの協力のもと、カザフスタンから打ち上げられました。翌27日にアンゴサット1との交信は途絶えましたが、関係者が復旧作業を行い、29日にロシアがコントロールを回復したと発表。約3億ドルを投入したアンゴサット1が星の藻屑となる事態は回避されました。 貧困や飢餓といったマイナスのイメージがつきまとうアフリカが宇宙開発に参入することは、多くの人々にとって意外かもしれません。しかし、アンゴラ以前に既にアフリカ大陸54ヵ国中7ヵ国が災害対策、テレビを含む通信環境の改善、軍事利用などの目的で既に人工衛星を打ち上げており、その宇宙進出は今後も加速する見込みです。 技術支援を行う側も含めて、アフリカの宇宙進出は「人工衛星が貧困などの社会問題を解決するうえで役に立つ」という考え方に基づきます。しかし、科学技術

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